第71期王座戦タイトル戦第1局 関西将棋会館での大盤解説会参加してきました。
藤井七冠が叡王戦で対戦した菅井八段と第5回ABEMAトーナメント予選で対戦したチーム下剋上の一員だった冨田誠也四段が解説者でした。
次の指し手をあてようとする菅井八段が考えを話してる時の、答えを知ってる冨田くんのニヤニヤ顔がかわいかったです。
抽選で決まった席が一列目で解説者との距離は1mほど。
解説最中でも、解説者が参加者に問いかけたり、中継みてる参加者に指し手を聞いたり、抽選で当たるお土産を本人が渡してくれたり。
同席してくれた娘が「将棋界は棋士とファンの関係が近い」とびっくりしてました。
評価値のない対局を解説付きで見るのは、評価値付きだけ見て一喜一憂してきた身にとっては新鮮。
解説をしていただけるので、わからないなりに一緒に考えられるんです。
対局結果を知ってるから、帰宅して評価値付き大盤解説を追っかけ再生して、聞いてきた解説をそれとなく思い出しながら心臓バクバクせずに落ち着いて見れます。
(推しが競り負けたときの対局ほど助かります。)
もちろん対局を見始めの時は評価値もないし、駒の動きもわからないし、解説の人が何を説明してくれてるのか、まったく意味もわからない。
どっちが優位かもわからない。
なんにもわからなくて、何にも面白くないですよね。
スポーツ観戦が面白いのは点数でどっちが優位かすぐわかる点だと思います。
ルールわかんなくても3-1だと、3が優勢だから、1のほう頑張れとか思えますよね。
でも、点数を取るためには、例えば野球だったらホームベースを踏めば1点っていうことや、3アウトでチェンジとか、そもそもの最低限のルールを知らないと、ヒット打っても、ホームラン打っても、送りバントが成功しても、なんのこっちゃで終わってしまいます。
そもそも観る将のなかには、将棋ではなく棋士をアイドルを推すように、応援する方もいらっしゃる気がします。
そんな方にとっては対局はステージですものね。
棋士を描いたバッジやアクスタをあつめられたり、応援うちわなど自作されている方も。
なので、その最低限のルールすら知らないうちから、将棋観戦を楽しめてしまうのが、観る将の醍醐味。
自分の場合はリアルスポコン漫画だと思っているので、対局の中身自体がそれほど理解できなくても楽しめます。
真剣に検討する解説棋士の先生を見てるだけでもワクワクします。
そして主人公やそれにまつわる人たちのそれぞれの人生背景なども気になります。
それで読む将にもなってしまうんです。
自然の成り行きですよね。
マンガ好きの方ならわかると思うんですが、自分の大好きな漫画がアニメや映画になったとたんに台無しになって悲しい思いや、これじゃない感や、腹立たしい思いしたことあると思うんですよね。
リアルが漫画の中なので、漫画から実写になった時点で嘘くさくなってしまう。
その点、リアルしかないので、あ、ドキュメンタリー番組でもあるのか!
と、何の話をしているのかわかんなくなってきましたが、そうそう、大盤解説会はいいぞっという話です。
長考時の解説者の将棋界界隈の雑談や、仲良し棋士の軽口などを楽しめます。
だから将棋界の事を知れば知るほど、大盤解説がより楽しくなります。
でも見るうちに解説者の言ってる言葉の意味が何となく分かるようになってきます。(どっち持ちですか?=どっちが優勢だと思いますか? 分が悪い=負けやすい 二歩に気を付けないと=反則しないように気を付けないと)
指し手の優劣が分からなくても、説明してくれるので、わかったような気になるんですよね。
うんうんとうなづきながら解説を聞けるようになります。(知ったかぶりっこw)
そもそも対局観戦を楽しめるようになったのはAIによる評価値のおかげ。
どちらが優勢か数字で表してくれます。
評価値の乱高下で悲鳴が上がるんです。(解説者、聞き手もしかり)
でも最近トッププロの対局の解説でいわれるのが、終盤戦の「評価値意味ない」です。
そもそも評価値は人間には到底考えられない指し手が一番いい場合もあって、しかもそれから先ずーっとAIのおすすめの手を(もちろん対局者には見えないんだけれど)指し続けられる場合だけ勝利する。とかあるんですね。
それでほぼ勝利って言われても。ってなりますよね。
人間同士の戦いなのでAIの通りに指すわけがない、逆転を狙うためにいったん評価を下げる手も必要なのです。
「AI越えの一手」藤井七冠の指し手を評した言葉。
王座戦初戦は永瀬王座の勝利でした。
藤井くんのデビュー間もなくから研究相手として、自分を引き上げてくださっている方とお互い同じ想いを持ち尊敬しあう間柄。
お互い手の内を知り尽くしている。と両者。
永瀬王座は藤井くんの思考回路を理解していて、それを朝日杯大盤解説で披露していましたね。
「皆が寄ってたかって藤井くんを強くしている。」
藤井くんに勝つために研究し作戦を練りだし、ぶつける。
それでも勝ってしまう藤井七冠。
でも、一人だけ突出しててはいけないんです。
ぎりぎりの勝負ができて、それを乗り越えより強くなる。
「藤井くんを一人にしてはいけない。」これは誰が言った言葉だったっけな。
『ヒカルの碁』では 塔矢アキラ は孤独だった。進藤ヒカルがあらわれて碁の世界がまた輝いたんだった。
「強くなることで、いままでと違う景色を見ることができたら」藤井くんの言葉。
ライバルがいて、負けることもあって、より強くなる。
永瀬さんはかつて言ってた。
「藤井さんに今までと違う景色を見せてあげたい。」
そのためには自らが強くならないと、と。
スポコンものって、必ず一度挫折を味わうんですよ。大きな大きな挫折。
将棋の神様が八冠ロードを初挑戦で達成する脚本をよしとしなかったのかもしれない。
・・・
・・・
・・・
それは・・・いや~~~~。
王座戦の挑戦者に今回までなれなかったということで、今回のトーナメント戦もぎりぎりの勝利だったことで、どうか許してください~。
-----------------
米CNNなどの報道によると、応援しているチームの勝利を見ることは、90分間、早足で歩くのと同程度の身体的負荷がかかり、勝利を見届けた場合は24時間にわたり高揚感が続くといい、特定のチームを応援するファンには身体的にも心理的にもメリットがあるそうです。
推し棋士を応援している自分たちの健康のためにどうか勝利をお願いします。